放課後編
暑さが恋しくなって来た初冬の夕刻。
校庭や体育館から運動部に所属している生徒達の掛け声が聞こえて来る。
部活動に参加していない私も遅くまで学校内に残っている。
これには当然理由が有る。
運動部にも一応部室は有る。
しかし所詮は中学校、道具を入れる程度の大きさしかなく、
生徒は別の場所で着替える事になる。
それは、クラスに割り当てられていない教室、科学室等々。
幸田美由紀(仮名、プール編と同一人物)
の所属する女子バスケット部は技術室で着替えている。
美由紀の制服は年中無断着用させてもらっていたが、今日は特別な日。
週末、試合に出場する為女子バスケット部が夜まで練習するという情報を入手していた。
更に試合前の数日間、選手に試合をシミュレートさせるためか(理由は不明)試合用のユニホームで練習している。
つまり、技術室には制服以外の物も置いてある事になる。
美由紀の体操服とセーラー服を同時に着られるチャンスはめったに無い。
私の中学では女子生徒が校内で体操服を脱ぐ事はまず無いと言えるからだ。
夏季プールの時を除くが夏服はセーラーでは無いので、セーラー+体操服のセットはなかなかチャンスが無い。
今日がその練習の初日、先程体育館を確認した時確かにユニホームで練習していた。
美由紀も他の生徒と共に練習している姿が確認出来た。
私の居る教室も無人になって30分程経つ。
そろそろ頃合と見て教室を出ると目的の教室へ向かう。
同じ階の教室、廊下、下の階も無人で静まり返っている校内、足音を殺し静かに急いで歩いていく。
一階に下り、渡り廊下を渡って別棟になっている技術室のドアの前に立つ。
音を立てないように静かに開けて行く。
慣れている行動なので特に緊張感は無い。
この教室、ドアに鍵等が無く侵入は容易い。
また着替えの為にカーテンが閉めてあるので更に楽、よく放課後に着用出来る理由が判ると思う。
「私の制服、自由に着ていいよ」と言われているようなものだ。
遠慮無く着させて貰っている。
教室内に入ると机の上に雑多に荷物が置いてある。
きちんと畳んで置いてある物、脱いだまま置いてある物等30人分程の荷物から目的の人間の物を探して行く。
有った!美由紀のバックだ。
かばん、バック、スクールコートが有り、バックを開くと綺麗にセーラー服が畳んで入っている。
セーラー服の名札を確認する。
「南中 幸田美由紀」
間違い無い、それら一式を持ちすぐさま自分の教室へ向かう。
二階の角に有る私と美由紀の教室へ入りひとまず呼吸を整える。
すでに窓の外は日が落ち始めていた。
自分の教室で女子の制服を着用するのは今日が始めての経験となる。
いつもはリスクが少ない場所での着用だった。
しかし今日はいつもより時間に余裕が有る。
それに幸田美由紀は同じクラス、つまりここに机が有る。
ここで着てこその制服だと思い始めていたし、
リスク以上に刺激も欲しくなっていたのだった。
美由紀の机に持ってきた荷物を置き、一端自分の机まで戻ると着ているものを脱ぎ捨て、全裸になり美由紀の机へ近づいた。
寒さの為鳥肌が立った震える手でバックを開き、中身を取り出して行く。
まずブルマーを取り出し愛着を持って履いて行く。
パンツを履いていないので肌に直接ブルマーが触れる事になる。
続いて体操服の袖に両手を通し、まるで自分の物の様に着込んで行く。
綺麗に畳まれていたスカートを履きセーラー服に手を伸ばした。
両手を袖に通して頭、肩を入れて行く、この瞬間がたまらなく好きだ。
本当はもっとゆっくりと着用して行きたいのだが、寒さのため素早く着込んでいった。
美由紀が放課後の部活中、大抵私がこのセーラー服を着用している。
私が着ている時間もかなりになる、もう私のセーラー服でもあるのだ。
襟口の汚れも何割かは私のものだろう。
胸当のホックを留め、スカーフを直してスカーフ留めのホックを止め、袖口のホックも止めて脇のファスナーを下げると寒さも幾分和らいで来た。
白のスカーフが長期の使用の為に色がくすんでいる。
美由紀と共に使いこんだスカーフなのだから愛着も強い。
空になったバックと鞄を机の脇に置き、美由紀の椅子を引き腰掛ける。
取り敢えずはこれがしたかった。
美由紀のセーラー服を着て美由紀の席に着く。
机に書かれている名前とセーラー服の名札が一致している。
なんとも言えない気持ちが心の奥底から湧き上がって来る。
ポケットから生徒手帳を取り出してめくって行く。
何処に何が書かれているか記憶に入っていて、新しい記入事項が有れば直に分かる。
特に無くポケットに手帳を戻し机の中を調査する。
おっ、縦笛がある。
皆一度はするだろう好きな子の縦笛ナメナメ攻撃をし元に戻しておいた。
机の上のコートを隣に置き、かばんから教科書、ノート、筆箱を取り出すと授業中のように机の上に並べて座りなおす。
教師に指されたと仮定して一人芝居をする。
「幸田さん、37ページを読んでください」
我ながら少々間抜けだが「はい」と返事をして立ち上がり教科書を手に持ち読んで行く。
万一誰かに聞かれるとマズイので当然小さな声でだ。
幸田美由紀になりきって教科書を読み、スカートを整えながら椅子に座る。
このしぐさもたまらない。
教科書等をかばんに戻し立ち上ると隣の机に置いたスクールコートを着用する。
隠しボタンになっている普通の中学生用の物だ。
マフラーを巻き、コートのポケットに入っている手袋をして教室のドアへと歩いていく。
廊下を歩きたくなったからだ。
ドアを静かに開き左右を確認して一歩踏み出す。
廊下に出たが思い直して一端美由紀の席に戻った。
今はもう夕闇に包まれている時間帯だ。
校内もすでに無人に近い、勝負だ。
私はこの新たな考えに興奮した。
私の制服や下着を美由紀のバックに詰め、そのバックと通学かばんを持ち登下校ルックで教室から廊下に出る。
コートも脱ぎバックに入っている、女子中学生のセーラー服姿だ。
意を決して廊下を進んでいく、薄暗い渡り廊下を進み、技術室の入り口に立ち辺りを探す。
有った。
美由紀の通学用革靴だ。
美由紀の靴に履き替えると、自分の上履きを隠し、ゆっくりと歩き始めた。
雑草の生えた裏庭を進んでいく。
裏庭と言っても校舎と道路の間の隙間と言った方が正しい。
正門へと歩いていく、やはり誰も居ない。
辺りを伺い、校門を出ると左手に歩き始めた。
少し行くと体育館が生け垣を挟んで覗く事が出来る。
バスケット部の激しい練習の音が聞こえる。
まだ30分は練習しているはずだ。
開かれたドアから内部を伺うことが出来、眼で標的を探した。
居た、美由紀だ。
賢明に練習している美由紀、あの子のセーラー服を今着ている。
見とれていると直ぐ脇を会社員風の人が通り過ぎた。
一瞬体が凍り付き、セーラー服の中を冷や汗が流れていく・・
が、その人は別段気にもせずとおりすぎて行った。
セーラー服姿を初めて見られたのだが、気にされない事に気が付いた。
セーラー服のラインが体育館の水銀灯を反射してオレンジ色に輝いている。
ハッキリとセーラー服だと判ったはずだ。
自信を持った私はその場から離れて、更に道路を進んでいった。
体育館を過ぎ、角を曲がると裏門が有る。
そこから再び校内に入り校庭を突っ切って校舎へと歩いていく。
遠目に他の生徒に見られているがこの暗闇で判別は付かないはずだ。
そのまま校舎の裏手に回り、更衣室となっている技術室へと向かっていく。
そろそろセーラー服とのお別れの時間。
私はその技術室の中で着替えを始めた、女子生徒と同じ部屋での着替え、素晴らしい。
制服や体操服を元通りにバックに戻し、きちんと元に戻すと二階の廊下に移動した。
窓の下には例の技術室の出入り口が見えている。
暫くすると女子バスケット部の部員たちが技術室に入り、着替えた後に家路に付き始めた。
その中から、幸田美由紀を探す。
疲れた足取りで渡り廊下から出てきた。
コートを着ているがボタンを掛けていないのでその中も見える。
暗闇の中、白のスカーフと襟の三本ラインが街灯を反射して目立っていた。
私のセーラー服を着て友達と話しながら帰って行く。
ついさっきまで私が着ていたセーラー服だ。
明日の放課後には又私の体を包んでいるはずのセーラー服、そうあのセーラー服は一時彼女に貸してあるだけで部活中だけは返して貰う。
校門を出て行く彼女を見送ると私も家路に付いた。
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